現代によみがえる、かまいたちの夜。
2017年2月に5pb.より発売された、
PSVitaソフト『かまいたちの夜 輪廻彩声』を今回レビューします。
全シナリオをクリアした時点でのレビューとなります。
なお、本記事は物語にかかわる重要なネタバレはなるべく避けて書いていますが、
一部内容にはそれっぽいのも含まれてますので、気になる方はご注意。
また本作は18歳以上対象となっており、一部グロテスクな表現も含まれてます。
閲覧の際はそちらも充分に注意して下さい。
公式サイトはこちら↓
http://5pb.jp/games/kamaitachi/
どんなゲーム?
『かまいたちの夜 輪廻彩声』は1994年や1998年に発売された
チュンソフトのサウンドノベル『かまいたちの夜』をリメイクした作品。
原作からの変更点としては、シルエットで表現されていた人物描写が現代ライトノベル風のイラストによって表現されていて、人物たちの台詞がフルボイス化されています。
また本作オリジナルの追加シナリオ「辺境の真理編」が新たに収録。(詳しくは後述)
脚本を担当したのは、あの『ひぐらしのなく頃に』を製作した竜騎士07さん。
どれくらい遊べる?
全シナリオクリア時点で約10時間。
どんな人にオススメ?
◆アドベンチャーゲームが好き
◆ホラーが好き
◆原作を遊んだことがない人
先述した通り、本作は過去に発売された作品のリメイク作。
内容が物語性重視のアドベンチャーなだけあってシナリオ面は非常に大切な部分ですが、
今回のリメイクでのシナリオについては、原作に忠実であると感じました。
(筆者はスーパーファミコン版を一度プレイ済み)
「こんや、12じ、だれかがしぬ。」
雪山のペンションのなかで突然現れたメッセージ。
最初はそこまで気にせずにいた一行たちだったけど、その後ある人物の死体が発見されます。
それをキッカケに同じペンションにいた周りの人達が一人、また一人と殺されていく。
最初は「このペンションの外部に潜んでいる何者かの仕業」であると疑うのですが、
次第に同じペンションの中にいる誰かがやったのでは...?と疑心暗鬼してゆきます。
サスペンス・ホラーに位置する本作のシナリオはやはり面白く、
いまもう一度遊んでも、スリリング感があって「さすが『かまいたちの夜』だな」と改めて感心。
また『かまいたちの夜』といえば本編クリア後に現れる隠しシナリオですが、
本作は、隠しシナリオも原作そのままの展開が楽しめたので安心しました。
やはりシナリオに思い入れの深い作品なので、
変にリメイクされた時に改変されていたら大変ショックになっていたと思うのでそこは本当良かった。
なので原作を遊んだことない人はオリジナル版のシナリオが基本全部そのまま遊べます!
もちろん遊んだことある人も、懐かしさに再度プレイしても問題ないかと。
シナリオごとにエンディングや登場人物の過去や設定まで変わる為、
プレイ中、全シナリオ達成まで常に新鮮な気分で楽しむことが出来ます。
ホラー色の強いシナリオから、コメディ色の強いものまで...。
本作はネタの再現もキチンと再現されていました!
明らかに変で面白い選択肢だったり、主人公のカオスな推理描写などなど。
特に原作既プレイの私にとっては「香山社長のテーマ」が再現率高くて笑いました(笑)
元々ぶっ飛んだ内容の多い隠しシナリオも、当然の如く再現されています。
特に印象的だったのが「Oの喜劇編」と「不思議のペンション編」。
「Oの喜劇編」で登場する、ある人物の強烈なキャラがイラスト&ボイスで再現されてたり、
「不思議のペンション」では本当にダンジョンゲームを遊んでいるかのような演出だったり。
本編以外でも細かな所で凝った演出が楽しめます。
謎の多い伏線と鬱描写の強い絶望感ある展開が印象的で面白かったです!
物語のネタバレを避けてお話しすると...
シュプールに泊まりに来た透が朝、ベッドから目覚めて真理が部屋まで迎えに来ます。
その後、食堂で真理の好きなドリンクを持っていくのですが、
そこで誤った選択をしてしまうと文字通り、透は処刑されてしまいます。
そして意識が切れるという瞬間に、ふっと気づくとまたベッドの上に戻る。
そのあと再び真理が部屋にやってきて食堂へ連れていかれ、
そしてまた「私の好きなドリンクを持ってきて」と言われます。
そしてまた誤ると...といった事が物語でループしていく中で、少しずつ話が進んでいきます。
いかにも、あの「ひぐらし」の原作者らしい描写が所々にあり、
「なぜ処刑されるのか?」という謎が徐々に明らかになっていく展開が中々秀逸で面白かった。
イラストのついた本作だからこそ輝く描写もありましたし、
これが読めただけでも本作の価値を見い出せたかな。
原作にあった恐怖感やら不安感やらの描写がオリジナルと比較すると、どうしても薄い。
イラストが現代のアニメ寄りのデザインになった事で、
ホラーよりもコメディの方が主張が強くなったように思いました。
本作がZ指定の18歳以上対象なのですがその割には過激さを感じませんでした。
期待していたので「あ...こんなもんなのか」とちょっと物足りない感覚に。
というのもプレイ前は「ホラー作として楽しみたい!いっぱい怖がりたい!」という思いでプレイしていたので、Z指定という事もあり出来る限り過激な描写が欲しかったんですよね。
そういう事もあって印象がどうしても薄くなってしまいましたね。
あと、これは否定点というか余談なんですけども...。
私が原作をプレイした時にイメージしていた登場人物がみんな可愛い&若々しかった(笑)
ヒロインの真理はイメージしていたよりもずっと美人でエロかったり、
OL3人組の一人の北野ちゃんが「ぽっちゃり」と書かれているように見えなかったり、
真理の叔母にあたる今日子さんが全然歳相応よりも声が若かったり...。
男性陣にはそこまで違和感がありませんけど、女性陣には一部違和感を感じる描写が。
あと1つ気になった点として、緊迫した場面にちょこちょこエロ描写が挟まれてて緊張感がぬける(笑)
特にヒロインの真理が証拠を探すというシリアスな場面にも関わらず、
イラストが明らかに"ある部分"を主張させたやつだったり。
スタッフの「これ明らかに狙ってるだろ」と思う場面が多かったですな。
(男プレイヤーの人には、ある意味嬉しい演出だけどね)
まとめ
総合評価:★★★☆☆
あくまで原作を知らない人のためにある「かまいたちの夜」。
シナリオや細かいネタ描写の再現度は申し分ない内容で、
本作の追加シナリオも予想を超えた展開や結末が印象的で完成度も高い。
アドベンチャーゲームとしては充分に楽しめる作品だと思います。
しかし原作の大きな魅力の1つだった「ホラー」が非常に薄味だったのと、
登場人物の描写に違和感を感じた部分が多かったのが残念。
でも、それはあくまでも私個人の主観なので、
オリジナル版を遊んだことが無い人への入り口には向いているんじゃないかなと思います。
まぁ私はもう本編の殺人事件の犯人は既に知っている状態で始めていたので、
原作を遊んだことがない人は本作から入ってもミステリー作品として十分に楽しめるのかも(笑)
ちなみに、そんな私としては「かまいたちの夜4」が出ることを切に願うだけです...。
(その時はシルエット&ボイスなしでお願いしますね)
チュンソフトのサウンドノベル『かまいたちの夜』をリメイクした作品。
原作からの変更点としては、シルエットで表現されていた人物描写が現代ライトノベル風のイラストによって表現されていて、人物たちの台詞がフルボイス化されています。
また本作オリジナルの追加シナリオ「辺境の真理編」が新たに収録。(詳しくは後述)
脚本を担当したのは、あの『ひぐらしのなく頃に』を製作した竜騎士07さん。
登場する人物それぞれにイラストとボイスが搭載された。
どれくらい遊べる?
全シナリオクリア時点で約10時間。
どんな人にオススメ?
◆アドベンチャーゲームが好き
◆ホラーが好き
◆原作を遊んだことがない人
このゲームのイイところ!
原作シナリオの高い再現度。オリジナルの内容はほぼそのまま。
先述した通り、本作は過去に発売された作品のリメイク作。
内容が物語性重視のアドベンチャーなだけあってシナリオ面は非常に大切な部分ですが、
今回のリメイクでのシナリオについては、原作に忠実であると感じました。
(筆者はスーパーファミコン版を一度プレイ済み)
「こんや、12じ、だれかがしぬ。」
雪山のペンションのなかで突然現れたメッセージ。
最初はそこまで気にせずにいた一行たちだったけど、その後ある人物の死体が発見されます。
それをキッカケに同じペンションにいた周りの人達が一人、また一人と殺されていく。
最初は「このペンションの外部に潜んでいる何者かの仕業」であると疑うのですが、
次第に同じペンションの中にいる誰かがやったのでは...?と疑心暗鬼してゆきます。
最初に見つかったバラバラ死体をきっかけに、恐怖の夜が始まります。
サスペンス・ホラーに位置する本作のシナリオはやはり面白く、
いまもう一度遊んでも、スリリング感があって「さすが『かまいたちの夜』だな」と改めて感心。
また『かまいたちの夜』といえば本編クリア後に現れる隠しシナリオですが、
本作は、隠しシナリオも原作そのままの展開が楽しめたので安心しました。
やはりシナリオに思い入れの深い作品なので、
変にリメイクされた時に改変されていたら大変ショックになっていたと思うのでそこは本当良かった。
なので原作を遊んだことない人はオリジナル版のシナリオが基本全部そのまま遊べます!
もちろん遊んだことある人も、懐かしさに再度プレイしても問題ないかと。
イラストは違えど、音楽や細かい部分での再現率も高い。
段々と周りを信用できなくなっていく不安感。
あってはならない殺人..真犯人が見つからず徐々に追い詰められていく。
シナリオごとにエンディングや登場人物の過去や設定まで変わる為、
プレイ中、全シナリオ達成まで常に新鮮な気分で楽しむことが出来ます。
ホラー色の強いシナリオから、コメディ色の強いものまで...。
シナリオによってはキャラ設定が大きく異なるものも。
原作に忠実なのは怖さだけじゃない!あんなネタもそのまま
『かまいたちの夜』ホラー以外のもう一つの魅力が、開発チームの"ネタ"です。本作はネタの再現もキチンと再現されていました!
明らかに変で面白い選択肢だったり、主人公のカオスな推理描写などなど。
特に原作既プレイの私にとっては「香山社長のテーマ」が再現率高くて笑いました(笑)
詳しくは伏せますが、香山さんのビジネス話関係で
非常に面白いバッドエンドがあります。あれもキチンと再現。
事件を解決しようと推理する主人公の推理が、
あまりにも非現実的すぎる内容の時に現れる画像がこれ。
元々ぶっ飛んだ内容の多い隠しシナリオも、当然の如く再現されています。
特に印象的だったのが「Oの喜劇編」と「不思議のペンション編」。
「Oの喜劇編」で登場する、ある人物の強烈なキャラがイラスト&ボイスで再現されてたり、
「不思議のペンション」では本当にダンジョンゲームを遊んでいるかのような演出だったり。
本編以外でも細かな所で凝った演出が楽しめます。
一瞬「これ何のゲームだっけ?」と思いたくなるものが幾つかあります
追加シナリオ「辺境の真理編」が謎&鬱展開で完成度が高い!
本作から新たに追加された新シナリオ「辺境の真理編」が、謎の多い伏線と鬱描写の強い絶望感ある展開が印象的で面白かったです!
物語のネタバレを避けてお話しすると...
シュプールに泊まりに来た透が朝、ベッドから目覚めて真理が部屋まで迎えに来ます。
その後、食堂で真理の好きなドリンクを持っていくのですが、
そこで誤った選択をしてしまうと文字通り、透は処刑されてしまいます。
真理の好きそうな飲み物を選択肢で選ぶのですが...
処刑シーンの描写が中々にえげつない。
そして意識が切れるという瞬間に、ふっと気づくとまたベッドの上に戻る。
そのあと再び真理が部屋にやってきて食堂へ連れていかれ、
そしてまた「私の好きなドリンクを持ってきて」と言われます。
そしてまた誤ると...といった事が物語でループしていく中で、少しずつ話が進んでいきます。
いかにも、あの「ひぐらし」の原作者らしい描写が所々にあり、
「なぜ処刑されるのか?」という謎が徐々に明らかになっていく展開が中々秀逸で面白かった。
イラストのついた本作だからこそ輝く描写もありましたし、
これが読めただけでも本作の価値を見い出せたかな。
このゲームの微妙なところ
ホラー描写としてパンチが薄め。
キャラクターデザインがホラーゲームには合っていないと感じました。原作にあった恐怖感やら不安感やらの描写がオリジナルと比較すると、どうしても薄い。
イラストが現代のアニメ寄りのデザインになった事で、
ホラーよりもコメディの方が主張が強くなったように思いました。
特に違和感を感じた場面がここ。
文章とイラストのギャップを感じてしまいますね...
文章とイラストのギャップを感じてしまいますね...
本作がZ指定の18歳以上対象なのですがその割には過激さを感じませんでした。
期待していたので「あ...こんなもんなのか」とちょっと物足りない感覚に。
というのもプレイ前は「ホラー作として楽しみたい!いっぱい怖がりたい!」という思いでプレイしていたので、Z指定という事もあり出来る限り過激な描写が欲しかったんですよね。
そういう事もあって印象がどうしても薄くなってしまいましたね。
一部の絵にはインパクトのあるものもありますが、
やっぱりホラーとしては違和感が。
あと、これは否定点というか余談なんですけども...。
私が原作をプレイした時にイメージしていた登場人物がみんな可愛い&若々しかった(笑)
ヒロインの真理はイメージしていたよりもずっと美人でエロかったり、
OL3人組の一人の北野ちゃんが「ぽっちゃり」と書かれているように見えなかったり、
真理の叔母にあたる今日子さんが全然歳相応よりも声が若かったり...。
男性陣にはそこまで違和感がありませんけど、女性陣には一部違和感を感じる描写が。
あと1つ気になった点として、緊迫した場面にちょこちょこエロ描写が挟まれてて緊張感がぬける(笑)
特にヒロインの真理が証拠を探すというシリアスな場面にも関わらず、
イラストが明らかに"ある部分"を主張させたやつだったり。
スタッフの「これ明らかに狙ってるだろ」と思う場面が多かったですな。
(男プレイヤーの人には、ある意味嬉しい演出だけどね)
浴室の天井を調べようと、真理をおんぶさせるシーン。
「そこに寄るんかい(笑)」
全身絵のシャワーシーンあります。
◆
まとめ
総合評価:★★★☆☆
あくまで原作を知らない人のためにある「かまいたちの夜」。
シナリオや細かいネタ描写の再現度は申し分ない内容で、
本作の追加シナリオも予想を超えた展開や結末が印象的で完成度も高い。
アドベンチャーゲームとしては充分に楽しめる作品だと思います。
しかし原作の大きな魅力の1つだった「ホラー」が非常に薄味だったのと、
登場人物の描写に違和感を感じた部分が多かったのが残念。
でも、それはあくまでも私個人の主観なので、
オリジナル版を遊んだことが無い人への入り口には向いているんじゃないかなと思います。
まぁ私はもう本編の殺人事件の犯人は既に知っている状態で始めていたので、
原作を遊んだことがない人は本作から入ってもミステリー作品として十分に楽しめるのかも(笑)
ちなみに、そんな私としては「かまいたちの夜4」が出ることを切に願うだけです...。
(その時はシルエット&ボイスなしでお願いしますね)
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